2019年04月16日

大阪出張で思うことのメモ。②

たとえば大都市圏と地方の商況や組合員同士のつながりの様子がだいぶ違うことに関して、これもまた劣等感を感じる面がある。
前回の市会の話でも書きながら苦しくなってしまったが、ここでもそんなことについて長々と書いていたら辛い気分になってきそうなのでそれはやめにして、前向きなことを書くことにする。

今回、大阪では2階が赤い布が敷かれた出品コーナーだった。赤い布コーナー=高級な本(というより資料)が並べられている場所、だ。
つまり、和書、掛け軸、書状、木版画、文豪の生原稿…といった類である。これらの集合体が醸し出す空気は実に独特である。容易には近寄りがたいのだ。もちろん、会場にいる面々は誰が見ても触れてもいいし、そして当然入札もできるのであるが、そこには気軽さはない。真剣に見ている業者は限られており、つまり“資料の字が読める”“価値が判別できる”“取り扱いの経験のある”店しか事実上、チェックできないというわけだ。会場の隅っこからも話が聞こえてくる。「ここは…避けるしかないな」と。そしてその方たちは別の階へ移動していった。そんな場所であり、明らかにほかの階(コーナー)と比べ人の数が少ないのだ。そう、所謂「敷居の高い」場所(“敷居の高い”の本来の意味は違うらしいがやはりしっくりくるので使う)なのである、赤布コーナーは。
しかし、である。いまさらながら、ここが古本屋として長くやっていけるかどうかの分水嶺なのではないか、とそう考えるのだ。
それは私もいままで「ここは難しいからパス!」と避け続けてきたクチである。でもここは…何もわからないと難度は高そうだが、その分競争も少なく、価格も比較的安定していそうだし(ネットでも取り扱いが少ないだろうから値下げ合戦にさらされなさそうで。…ただし想像です。違っていたらごめんなさい)、そして…これは自分でも意外なのだが(もちろん、知識や見る目があることが前提だが)、けっこう楽しいのではないか? まったくといっていいほどこれまで触れてこなかった分野なので、冷静に見てみると純粋に斬新なのである。
そして、今挙げたこれらの要素を勘案してみると、どうやら取り組むべき分野なのではないか、と。そう思えてくる。
私はそれらの出品物をじっくりと眺めておられる熊本の老舗古書店・舒文堂の河島さんに訊ねた。「これらはどのように勉強していけばいいでしょうか?」と。すると河島さんは、こうおっしゃった。「勉強するとかじゃないよ。経験だよ」。 もちろん勉強は前提となる話であってその上で、現場に足を運んで実際に落札状況などを見て学ぶしかない、とそういうことなんだろうと思う。現場を生でがんがん体験しないと話にならないな、と改めて思った次第である。でもこれからの存続をかけてとはいえ、挑戦すべきは未知の新ジャンルだ。ワクワクもしてくる―。



Posted by つばめ at 19:41│Comments(6)
この記事へのコメント
緋毛氈=特陳(どっちだ?特珍だっけ?) 
ワタシも、たまに大きな市場をおっかけのついでに覗いたりしますが、よー、触らん。。。。。(-_-;)

和本類は、扱いなれていないと傍で見ていてもどうも危なっかしく
見えるようで、それとなしにつっこまれることもあるみたいですよ。
河島さんがおっしゃった経験ちゅうのは、市場に出かけて相場をしることも無論そうでしょうが、安い物からでも良いので
とにかく扱ってみる、自分で売る経験を積んだ数をコナシタ結果段々扱えるように
なる・・・・ってことではないのでしょうかね。

まぁ、ウチもまるで扱えてないんで、、、とりあえず努力しますわ。
Posted by 謎の大男 at 2019年04月17日 05:44
緋毛氈=特陳(どっちだ?特珍だっけ?) 
ワタシも、たまに大きな市場をおっかけのついでに覗いたりしますが、よー、触らん。。。。。(-_-;)

和本類は、扱いなれていないと傍で見ていてもどうも危なっかしく
見えるようで、それとなしにつっこまれることもあるみたいですよ。
河島さんがおっしゃった経験ちゅうのは、市場に出かけて相場をしることも無論そうでしょうが、安い物からでも良いので
とにかく扱ってみる、自分で売る経験を積んだ数をコナシタ結果段々扱えるように
なる・・・・ってことではないのでしょうかね。

まぁ、ウチもまるで扱えてないんで、、、とりあえず努力しますわ。
Posted by 謎の大男 at 2019年04月17日 05:45
古本というよりは古書、骨董の類になるわけですが、本当に欲しい人のためのジャンルはネット販売では不利な気もします。実物を見ないと気がすまないタイプの好事家が多そうです。

古書の場合はお店の内装などにそれほど気を遣わなくても、というか雑然としてるほうがかえって趣も出るようにも思いますが、掛け軸、版画となると、お店のインテリアにも気を配らないと購買層の心を満たさない感じもしますね。高額な物に釣り合う空間の雰囲気といいますか。

私は雑然としてる中からお値打ちものを探し出すのがこういうお店を訪れる醍醐味だと思います。ですが、昨今のネットでの情報氾濫で売る方、買う方も必要以上の知識を身につけつつあるので、一昔以上前の「思わぬモノとの価格に釣り合わない出会い」が格段に減ってきてるように思いワクワク感が味わえないのが寂しいですね。

ネットで探してる本に容易に出会えるようになった現状が業界にとっても本当にいいことだったのかどうか。評価されるモノの正当な値打ちが不当に扱われていないかについては功罪相半ばしているようにも思います。
Posted by 川口 at 2019年04月17日 12:15
>謎の大男さん
コメントありがとうございます。
そうですよね、実際に扱う経験を増やさないとどうにもできませんよね。いまはその安いものを入手する余裕もないですが。しかしそれにしても難問だらけであります。とりあえず努力しかないんですけども…。
Posted by つばめつばめ at 2019年04月17日 17:44
>川口さん
コメントありがとうございます。
たしかに現物を見たい人が多いのでしょうね。ただネット上でそれらの高額の取引が行われているのも事実で、挑戦してみる価値はあるのではないかな、と思う反面、ご指摘のとおり、知識を持ってる方も多いので、出品者側がしっかりした知識を持っていないと対応に当然不満が出るでしょうから… どのみち簡単なものではないということですね、それ系は。
それにしても、たしかに店で売るならインテリアや雰囲気作り、とっても大事でしょうね。。。
Posted by つばめつばめ at 2019年04月17日 17:56
>川口さん(追記)
ネットの功罪もありますよね。全国で商品の値段の相場が定まってきたという面はもしかしたらいいのかもしれませんが、その分“理由(店主の価値観など)があって設定していた”その店ならではの値付けというものがやはり減ってきたりして、結果、本の価値の変化(相場の一定化、一様な下落具合など)だけでなく、店の個性も薄くなっている面だってありますよね。。
Posted by つばめつばめ at 2019年04月17日 18:14
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